日常会話で「抽象的な主張」と「具体的な例示」を行ったり来たりしているか。

前回予告の「国語の文章読解のための会話」のひとつ目です。

 

前回のブログで予告していた、「国語の文章読解に強くなるために、日常会話で心がけると良いこと」のひとつ目をご紹介します。

 

 

今回は、説明文(論説文)の読解に強くなる方法です。

 

説明文は、あるテーマについて、筆者の主張が書かれている文章である、と考えられます。

 

ですから、「筆者は、この文章で何が言いたいのか」を意識しながら読んでいくと、全体を捉えやすいです。

 

 

さて、この「筆者の主張」ですが、

基本的には、抽象的な(あるいは普遍的、包括的な)主張であることが多いです。

 

例えば「地元の池への不法投棄をなくすために、自治体や住民は○○といった対策を講じるべきだ。」といった結論というよりは、

「環境汚染の拡大を防ぐべく、自治体や住民はどうすべきか考えなければならない。」といった結論となることが多いです。

 

 

そして、その「結論」に至るために論を展開していきます。

 

先の例であれば、

「人々の行為が、環境や生態系に悪影響をおよぼしている。」といった実情を指摘したりするでしょう。

 

その際に、筆者の主張に説得力を持たせるために使われるのが「具体例」です。

 

「住民や観光客が捨てたゴミによって、池の生物が死んだりケガをしたりしている。」といった事例をいくつか挙げることにより、

筆者が述べる「環境への悪影響をおよぼす行為」を、読者により明確に認識させることができてきます。

 

 

筆者の主張の根拠を明確にしたり、主張に説得力を持たせるために使われるのが、

この「例示」です。

 

例示がなされることで、読み手である私たちにとっても、筆者が言おうとしていることが理解しやすくなります。

 

 

説明文で、筆者が展開する「論」の構成を木の幹と捉えるならば、

「例示」の部分は、枝葉であるとも言えるでしょう。

 

そして、「筆者が何を言いたいか」を押さえるためには、

この「幹」の部分がどこであるのか、を理解していく必要があります。

 

 

説明文においては、

どの段落(あるいは部分)が筆者の主張の「幹」であり、

どの段落(あるいは部分)が「枝葉」となる例示の部分であるかを、

意識することが必要です。

 

 

 

さて、ひるがえって、今回のテーマである「会話」についてです。

 

日常的な親子の会話の中から、

「抽象的な指摘(主張)」と「具体的な例示」の部分を、意識的に使い分けられているでしょうか。

 

 

「指摘」の部分は、ともすれば抽象的な内容になりがちです。

 

例えば「時間に気をつけて逆算しながら行動するといいよ。」ということが伝えたい。

 

でも、それだけだと、どのような時に「時間に気をつける」ことが必要なのかが明確ではありません。

 

そこで、具体的な「朝、何時に家を出るかを考えて、準備をする必要がある。」だとか、

「21時の消灯時間に合わせることを考えたら、遊びの時間は何時までかを考えなければならない。」といった部分に落とし込んでいきます。

 

 

反対に、

「夜遅くまで遊んでいるのが気になる。」といって声をかけた場合は、

そこから、「時間を逆算してから行動するようにする」というより普遍的なことまで話題を拡張し、あわせて伝えていくようにします。

 

 

そうすることで、

より、言いたいことを明確に伝え、応用が効くような伝え方をすることが可能であり、

同時に、「説明文において使われる論の展開方法」を体感することが可能となるのです。

 

 

そして、お父さま、お母さまがこのような会話の展開を意識する、というだけでなく、

お子さまが、こうした抽象度の高い会話をしていけるように導いてあげることも効果的です。

 

お子さまの漠然とした主張に対して、「具体的には?」と実際の例を挙げてもらったり、

お子さまの具体的な主張を、「つまり、どういうことが言いたいの?」と抽象的な内容に言い換えていくような会話ができると良いかもしれません。

 

 

「抽象」と「具体」を行ったり来たりしながら、主張が展開されることが、

説明文の読解に効果的である、ということを知っているだけでも、

 

普段の会話で、意識をすることができることでしょう。

 

 

(今回のブログの記事も、「抽象的な主張」を補完するために、たびたび「具体例」が使われていることに気づいたかもしれません。)

 

 

文章読解の力を高める会話は、まだいくつかポイントがあります。

順番に、紹介をしていきます。

 

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投稿者プロフィール

藤田和彦