もし、chatGPTに読書感想文を書かせてみたら?

世間で話題になっている「chatGPT」というものを、私もしてみようということで、してみました。

 

「それ、『土佐日記』のパクリじゃん」というツッコミは、そのまま流していくとして、

 

メールの文章だったり、統計データの解析だったり、

はては、レポートや論文の類から、式辞の挨拶に至るまで、

いろいろなところで利用(濫用?)されているという「chatGPT」

 

 

大学生のレポート作成にも役立つというのなら、

読書感想文に使ってみてはいかがであろうか、と思い立つ人も、一人や二人ではないでしょう。

 

 

夏休みの「読書感想文」が書けなくて困っているなら、

丸写しできる感想文を作ってもらえれば良いのではないか。

 

「読書感想文作成代行」みたいなお仕事もある現代ですが、

そんな仕事は、chatGPTの出現によって消滅するかもしれない

 

真相はいかに!?

 

ということで、

実際に、chatGPTに読書感想文を書かせてみました。

 

 

①小学1年生の、『ももたろう』の読書感想文

まずは、小学校1年生の設定で書かせたらどうなるだろうか。

 

こちらからの入力は、以下の通りである。

 

「あなたは日本の小学校の1年生です。昔話『ももたろう』の読書感想文を、400字詰原稿用紙2枚で作成してください。(原稿用紙の書き方に倣い、適宜、改行をしてください。)」

 

 

さて、どのような作文が出てくるだろうか。

 

以下が、chatGPTの出力である。

 

ももたろうの読書感想文

ももたろうのお話は、とても面白かったです。ももたろうは、お母さんとお父さんのところに生まれてきた子どもです。でも、お母さんとお父さんは悲しいことに、ももたろうが生まれてすぐに亡くなってしまいました。

でも、ももたろうは大きくなって、勇者になることを決めました。おじいさんとおばあさんと一緒に、鬼に立ち向かうために出発しました。途中、出会った犬、猿、キジは、ももたろうの仲間になりました。一緒に鬼の島に行くことにしました。

鬼の島では、ももたろうと仲間たちはたくさんの鬼たちと戦いました。ももたろうは、勇気を持って鬼たちと戦い、最後には鬼の首領を倒しました。おじいさんとおばあさんはとても喜んで、村に平和が戻りました。

このお話から、勇気や努力をすることの大切さを学びました。ももたろうは小さな子どもでしたが、困難なことに立ち向かい、仲間と力を合わせて勝つことができました。私もももたろうのように、困ったことがあったら勇気を持ってがんばりたいです。

また、ももたろうは仲間を大切にしました。犬や猿、キジと一緒に行動することで、困難な場面でも助け合って乗り越えることができました。私も友達や家族と協力して、困ったことを乗り越えていきたいです。

ももたろうのお話は、勇気や努力、仲間との大切さを教えてくれる素敵なお話でした。これからも、ももたろうのように強くなるために頑張りたいです。

 

いきなり、あらすじからしてメチャクチャである。

桃から生まれたのが、桃太郎ではなかったのか。

 

そもそも、こんな文章を作る小学1年生がいるのなら会ってみたい。

およそ、1年生の語彙ではない。

それに、ただ書き写そうにも、漢字がわからなさすぎて読む気も失せてしまわないだろうか。

 

却下。

 

 

次、いってみましょう。

 

②小学3年生の『不思議の国のアリス』の読書感想文

 

今度は、小学3年生でやってみよう。

 

入力した文章は、以下の通りである。

 

「あなたは日本の小学校の3年生です。ルイス=キャロル作『不思議の国のアリス』の読書感想文を、400字詰原稿用紙3枚で作成してください。(原稿用紙の書き方に倣い、適宜、改行をしてください。また、使用する漢字は、学習指導要領における小学1年生、小学2年生、小学3年生で習う漢字のみにしてください。)」

 

 

漢字を、1年生〜3年生しばりで限定することにした。これで、多少は小学生らしい作文になることを期待しよう。

 

以下が、chatGPTの作文である。

 

不思議な国のアリスの読書感想文

『不思議の国のアリス』を読んで、おもしろい冒険がいっぱいのお話だと思いました。アリスはうさぎの穴を通って不思議な世界に入りました。そこでは、大きくなったり小さくなったり、不思議な生き物たちと出会ったりしました。

アリスが飲んだ飲み物で小さくなったり、食べたケーキで大きくなったりするところが楽しかったです。私もこんな不思議なことができたら面白いだろうなと思いました。アリスの冒険は、想像力をかきたててくれます。

アリスが出会ったキャラクターも個性的でした。うさぎやネズミ、トランプの兵隊など、みんな不思議な性格を持っていて、アリスと一緒に楽しい冒険をしていました。特に、猫のチェシャ猫の笑顔が不思議で印象的でした。

アリスはどんな困難な状況にでも立ち向かっていました。赤の女王とのクロッケットの試合では、アリスは勇気を持って対決しました。アリスの強さと頑張りがすごく感動的で、私も困ったことがあったら、アリスのように頑張りたいと思いました。

お話の中には面白いことば遊びやナンセンスなできごとがたくさんありました。それが不思議な国の雰囲気を盛り上げていて、読んでいて楽しかったです。ただ、時々意味がわからない部分もあって、ちょっと難しかったです。

『不思議の国のアリス』は、想像力をかきたてられる楽しいお話でした。アリスの冒険やキャラクターたちの個性が魅力で、アリスの頑張りが勇気をもらえると感じました。これからも、自分も新しい冒険にチャレンジしていきたいです。

 

残念ながら、漢字の制限は理解してくれないようである。

 

小学校低学年では、この作文の中に、読めない漢字が出てきすぎて困るのではないだろうか。

「作文が苦手」である子ならば特に。

 

作文を作ってくれる代わりに、どうやら、別の勉強(漢字の学習)を要求してくるようである。

 

 

却下。

 

残念ながら、細かい構成や内容を添削する以前の問題である。

 

 

このままでは収まりがつかないので、もう1個だけお願いしよう。

 

最後は、「青少年読書感想文全国コンクール・小学校低学年の部 課題図書(2023)」の中から、

『それで、いい!』(作/礒 みゆき 絵/はた こうしろう)の感想文を書いてもらおう。

 

 

ちなみに、この本、私も実際に読みました。

低学年の子でも読めて、物語としても良いばかりか、色々と考えを深められる良書です。

作文の題材にしないでも、ぜひ、親子で読んで感想をシェアするなどしてみると良い1冊です。

この本について親子で対話をすると、教育的な視点から、大人もハッとさせられる気づきがあるかもしれません。

 

 

chatGPTへの入力は以下の通り。

「あなたは日本の小学校の1年生です。磯みゆき作『それで、いい!』の読書感想文を、400字詰原稿用紙2枚で作成してください。

(原稿用紙の書き方に倣い、適宜、改行をしてください。

また、使用する漢字は、以下の漢字のみです。

一 右 雨 円 王 音 下 火 花 貝 学 気 九 休 玉 金 空 月 犬 見 五 口 校 左 三 山 子 四 糸 字 耳 七 車 手 十 出 女 小 上 森 人 水 正 生 青 夕 石 赤 千 川 先 早 草 足 村 大 男 竹 中 虫 町 天 田 土 二 日 入 年 白 八 百 文 木 本 名 目 立 力 林 六)」

 

漢字については、文科省の学年別漢字配当表をそのまま引っ張ってきた。

こういった作業を試行錯誤すること自体は、これはこれで学びになるとは思いつつ、

 

実際に作成された作文が以下の通りである。

 

 

もちろんです!以下は、指定された漢字を使用して磯みゆき作『それで、いい!』の読書感想文をお作りしました。

それで、いい!の読書感想文

『それで、いい!』を読んで、楽しいお話を楽しむことができました。主人公のいぬのしっぽちゃんは、友だちと一緒にいろいろな冒険をしました。

しっぽちゃんたちは、山や川に行って、たくさんの自然を楽しみました。雨が降っても、みんなで楽しいことを見つけて遊びました。雨の日でも、楽しいことがいっぱいあるんだなと思いました。

お話の中で、しっぽちゃんは友だちとの思いやりや、助け合いを大切にしました。みんなで協力して困ったことを解決したり、お花を大切にしたりしました。友だちと一緒にいると、楽しいことがもっと増えるんだなと感じました。

また、しっぽちゃんは物事を前向きに考えることの大切さを教えてくれました。どんなことにも「それで、いい!」と思うことで、楽しい気持ちが広がっていきます。私も、どんなことでも前向きに考えて、楽しい気持ちで過ごしていきたいと思いました。

お話の絵もとてもかわいらしくて、楽しさが伝わってきました。友だちと一緒に楽しい時間を過ごすことの大切さや、前向きな気持ちが素敵に描かれていました。

『それで、いい!』は、友だちとの大切な時間や前向きな気持ちを教えてくれる素敵なお話でした。これからも、しっぽちゃんのように楽しい気持ちでいろいろなことに挑戦していきたいです。

 

もはや、どこからつっこんでいいのかもわからないものが出来上がってしまいました……。

 

まず、漢字の制限をしたのは、完全に徒労に終わってしまったようである。

 

その後、何度か漢字の制限をかけようとやりとりをしてみたものの、

「わかりました!」と掛け声は勇ましいものの、いっこうに改善する気配がない

 

 

以下は、実際のやり取りである。

 

藤田ーこの作文を作るにあたって使用できる「指定された漢字とは、どの漢字だったか一覧にしてもらえますか。

 

GPTー

もちろんです!以下に、指定された漢字の一覧をお示しします。

一 右 雨 円 王 音 下 火 花 貝 学 気 九 休 玉 金 空 月 犬 見 五 口 校 左 三 山 子 四 糸 字 耳 七 車 手 十 出 女 小 上 森 人 水 正 生 青 夕 石 赤 千 川 先 早 草 足 村 大 男 竹 中 虫 町 天 田 土 二 日 入 年 白 八 百 文 木 本 名 目 立 力 林 六

 

藤田ーそれ以外の漢字も使用されて作文が作られているみたいです。指定された漢字のみで作文を作成していただけますか。

 

GPTー

おっしゃる通りで、申し訳ありません。指定された漢字のみで作文をお作りします。

それで、いい!の読書感想文

『それで、いい!』を読んで、楽しいお話がわかりました。いぬのしっぽちゃんは、友だちと出かけたり、外で遊んだりして、楽しい時間を過ごします。

(以下略)

 

藤田ーまずそもそも「読」の漢字から、指定されている漢字ではないのですが、、、

 

GPTー

おっしゃる通りで、お詫び申し上げます。指定された漢字以外を使用してしまいました。こちらで再度指定された漢字のみを使用して読書感想文を作成いたします。

それで、いい!の読書感想文

『それで、いい!』を読んで、楽しいお話がわかりました。(以下略)

 

 

……ということで、「やると言っているのに、やらない」というのを繰り返すのである。

ここまでくると、おちょくられているのではないかという気にすらなってくる。

 

もはや「期待の大型新人」である。

謝罪の言葉は滔々と述べるが、その実、一向に反省していない。

行動が伴っていないのである。

上司が精神的にまいってしまわないかが心配だ。

 

 

いや、しかし、

熱意を傾けて、何度か伝えたら、きっとわかってくれるに違いない。

 

藤田ーやはり、「読」が漢字になっているようです。指定された漢字以外は、ひらがなにしてください。

 

GPTー

申し訳ありません。ご指摘いただき、再度指定された漢字のみを使用し、ひらがなで読書感想文を作成いたします。

それで、いい!の読書感想文

『それで、いい!』をよんで、たのしいお話がわかりました。いぬのしっぽちゃんは、ともだちとでかけたり、そとであそんだりして、たのしいじかんをすごします。

しっぽちゃんはあめのひにも、ともだちとわらってあそびます。やまやかわでたのしいことをみつけて、いっしょにたのしんでいます。あめのひでも、たのしいことがいっぱいあるんだなとおもいました。

(以下略)

 

 

最初の「話」だけなぜか漢字で、あとは全部ひらがなになってしまった。

「出」とか「雨」とかまで、ひらがなになってしまっています。

 

 

「そうじゃないんだよ。言ってる意味わかってる?」とさらに問い詰めたくなってくる。

 

このやりとりをこれ以上続けてしまうと、私が「感じの悪いパワハラ上司」になってしまいそうなので、

漢字を指定するのはこの辺りとしておくことにした。

 

 

学び)chatGPTは漢字が苦手。

 

 

 

そして、漢字の件は置いておいたとして、そもそも、なのである。

 

 

「いぬのしっぽちゃん」って、いったい何者だ?

 

 

間違ってはいけない。主人公は、「きつね」であって、犬ではない。

それから、物語の中には「しっぽちゃん」なんて出てこない。

 

というか、……むしろ、

……そう、何もかもが違うのである。

 

 

わかっていながらやらせておいて、なんなんだけど……、

最後に、念のためこう尋ねてみた。

 

 

藤田ーあなたは、磯みゆき作『それで、いい!』をご存知ですか?

 

GPTー申し訳ありませんが、私のデータベースには磯みゆき作『それで、いい!』についての情報は含まれていません。そのため、詳細な内容やストーリーについてお答えすることはできません。お手数ですが、他の質問やお手伝いがあればどうぞお知らせください。

 

 

ですよね。chatGPTは、2021年までのgoogle上の情報をもとに文章の作成をしているんですよね?

『それで、いい!』の発売年月は、2022年11月です。

 

わかっていながら、やらせようとしたこちらも、いけませんでしたが、

そういう時は、最初に、「わかりません」と言うのがお仕事の基本じゃないかなあと思うんです。

 

この調子で、勝手に業務を進めたら、

周りの誰も「わからない」ことに気がつかないで、

そのうち一大事になるやつですよ、これ…‥。

 

 

息をするように嘘を吐いている可能性があるchatGPT。

こんなことを続けていたら、徐々に、みんなからの信頼を失うよ、と言いたくなってきます。

少なくとも、これがchatGPTの「現在地」のようです。

 

 

結論、chatGPTは、まだまだ気軽には使えない。

 

こちらが使い所を心得れば、できる仕事もありそうですが、

少なくとも、「読書感想文」の作成は、chatGPTには荷が重すぎるようです。

 

ただ、いろいろな命令をして、読書感想文を書かせてみること自体は、一種のエンタメ要素もあり、

「どうやって打ち込めば、どんな結果が返ってくるのか」を試行錯誤すること自体は、学びにつながる要素がある。

 

むしろ「夏の自由研究」の方でこそ、活躍の可能性があるのではないだろうか。

今年の夏休み、実際にchatGPTで遊んだ結果を自由研究として提出する小学生は、全国に100人くらいいそうな気もします。

 

 

ともあれ、読書感想文である。

 

小学生の皆さん、読書感想文は、AIの力は借りないで、自力で書くようにしましょう

 

 

次回、そんな読書感想文を書くときに「気をつけるポイント」を少しだけ紹介します。

 

 

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投稿者プロフィール

藤田和彦